弊社が取り扱っている健康保険の中で、不妊治療をカバーする保険は、残念ながらありません。
オバマケアでは、国民が、法律の条件を満たす健康保険に加入することを義務付けています。低所得者など、一部の例外にあてはまる場合は、この加入義務は免除されます。免除の規定にあてはまらない人が、健康保険加入義務を満たさない場合、ペナルティーがかかります。ペナルティーは、所得税の申告をする際に、税金として徴収されます。1年に3か月までは、保険に加入していなくても、ペナルティーはかかりません。ぺナルティーの金額は、次の(1)または(2)、どちらか金額が多いほうです:(1)大人一人につき$695、18才未満の子供一人につき$347.50、家族合計で$2,085まで、(2)その家庭の所得の2.5%で、保険取引所で販売されているブロンズレベルの保険の年額の全国平均の金額まで。2017年以降は、(1)の金額は、インフレ率によって毎年調整されますが、(2)は変更されない予定です。
転職の場合、次の勤務先での保険に加入するまでの間、COBRAで前の会社の保険を継続するか、短期保険を利用するか、オバマケアの条件を満たす個人用健康保険に加入するか、の3つの選択肢があります。COBRAだと、今まで加入していた保険を継続できるので、ベネフィットや医療機関のネットワークに変更がない、という利点がありますが、保険料はかなり高くなる可能性があります。短期保険は格安ですが、既往症や予防医療は適用外で、ベネフィットもかなり限られます。オバマケアの条件を満たす健康保険だと、既往症もカバーしますし、その年度の所得によっては、補助金を受けられる可能性がありますので、ベネフィットやネットワークを、COBRAと比較してみるのがよいのではないでしょうか。会社を解雇された、または、自主的に辞職したことにより保険を失うことは、Qualified Life Eventsに当たりますので、期間外申請ができます。注意することは、いったんCOBRAに加入すると、その後、オバマケアの条件を満たす居住者用健康保険に切り替える場合、COBRAのベネフィットを使い切ってしまってからか、または、年1回のOpen Enrollment Periodの期間内にしか、切り替えはできません。
オバマケアの条件を満たす居住者用の健康保険は、1年に1回、決められた時期 (Open Enrollment Period) にしか加入できません。2016年度の受付期間は1月31日で終了しており、2017年度分の受付は、2016年11月1丹治から2017年1月31日です。法律で定められた条件に合う理由 (Qualified Life Events) がある人は、期間外申請ができます。この条件にあてはまる人が申請できる期間を、特別受付期間 (Special Enrollment Period) といいます。国の法律で定められているQualified Life Eventsは、こちらのウェブサイトに記載されていますが、州によって、条件が多少異なる場合があります。期間外申請の理由として認められる主なものは、出生、離婚、離職、移転などにより、それまで加入していた保険を継続できなくなった場合ですが、日本からの移住の場合、通常、次のような書類を提出することにより、加入できます(保険会社により必要書類に違いあり):パスポートとビザのコピー、出入国スタンプがついているページのコピー、飛行機の搭乗券、アメリカの住所を証明する書類(光熱費の請求書、賃貸契約書など)、日本で国民健康保険などに加入していたことの証明書(役所発行のもの)。期間外申請をするか、または、次の Open Enrollment Periodまでの間、短期保険や移民保険などに加入しておくという選択肢もあります。Open Enrollment Periodになってから申請すれば、上記のような書類の提出は必要ありません。
ソーシャルセキュリティー番号がなくても、健康保険に加入することはできます。ただし、オバマケアの補助金を受けるには、ソーシャルセキュリティー番号が必要です。
アメリカには65才以上の高齢者用の公的医療保険制度である、メディケアがあり、基本的には、65才以上の人は、メディケアに加入しなければなりません。しかし、海外から移住した高齢者の場合、移住してから5年経たないと、メディケアには加入できませんので、この5年間の間は、64才以下の人が加入する、居住者用の健康保険に加入するのがベストですが、この場合、65才以上の人の保険料はかなり高くなります。もし、アメリカで所得税を納税するのであれば、所得の金額によっては、オバマケアによる補助金を受けられる可能性があります。補助金を受けられるのは、課税所得 (Modified Adjusted Gross Income) が、貧困レベルの400%以下の場合です。詳しくは、お住まいの州の居住者用健康保険を取り扱っている保険代理店に相談されるか、お住まいの州の保険取引所 (Health Insurance Exchange または、Marketplace) のウェブサイトをご参照ください。居住者用健康保険以外の選択肢としては、移民保険などがありますが、このような保険は、既往症や予防医療が適用外です。
2013年までは、すでに妊娠している人は保険加入を拒否されていましたが、オバマケアにより、アメリカの居住者用健康保険については、既往症の有無に関係なく加入できるようになりました。したがって、オバマケアの条件を満たす、お住まいの州の居住者用の健康保険ならば、妊娠していても加入できて、出産費用もカバーされます。短期医療保険など、オバマケアの対象でない医療保険は、この限りではありませんので、既往症は適用外ですし、本人、または、配偶者が妊娠していると、保険には加入できません。
既往症 (Pre-existing Conditions) とは、保険に申請する時点で、申請者が罹っている病気や発症している症状、または、今までにかかったことのある病気や完治していない症状です。保険会社や保険の種類によって、過去何年間の病歴を調べるかの違いはありますが、通常、過去2年から10年です。オバマケアによって、現在、居住者用の健康保険には、既往症の有無に関係なく加入できますので、病歴審査はありません。しかし、オバマケアの対象でない医療保険や、介護保険、生命保険の場合は、病歴審査がありますので、既往症の程度によっては保険に加入できない可能性があります。また、保険に加入できても、既往症が保険の適用外だったり、もしくは、一定の免責期間が過ぎないと適用にならない場合もあります。